04.23
いわて銀河フェスタ・国立天文台 水沢 特別公開レポート2015.8
国立天文台水沢は、電波望遠鏡、奥州宇宙遊学館、木村榮記念館など
最先端科学と 天文学の歴史に触れることができるとても素敵な施設です。
通常般公開だけでなく、年に一度8月下旬に開催される特別公開いわて銀河フェスタも、ぜひご見学を!
いわて銀河フェスタ2015 国立天文台 水沢
国立天文台 水沢 見学案内
2015年8月22日(土)に開催された
いわて銀河フェスタ2015・国立天文台 水沢キャンパス特別公開2015に参加しました。
以下、当時のレポートを一部抜粋、加筆修正してご案内します。
(一部、別の日に撮影した画像が含まれます)
【VERA20m電波望遠鏡】
大きいです!カッコいいです!
【20mアンテナ駆動体験】
アンテナツアーが朝に降った雨の影響で中止となりました。残念。
その代わり、アンテナ駆動体験をさせていただきました。これが最高に楽しいのです!
ゲームコントローラーでVERAの20m望遠鏡を動かします。
コントローラーであらかじめ画面の水沢からの景色を定め、決定ボタンを押すと、
その向きにアンテナが動きます。秒速2度で動くので、結構早いです。
巨大なアンテナの、フットワーク軽い早い動きにちょっと驚きます。
雄々しく逞しい存在感、凛として美しい佇まい。
男性的でもあり、女性的でもあるVERA 20m電波望遠鏡。
青空の下の爽やかなアンテナも元気が出ていいですが、
曇りの日のアンテナのグレイッシュな風情も素敵ですね。
【VERA(水沢VLBI観測所)】
http://www.miz.nao.ac.jp/content/project/vera-project
VLBIという電波干渉計の手法を用いた銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクト
【RISE月惑星探査検討室】
http://www.miz.nao.ac.jp/content/project/rise-project
測地学を月、惑星と衛星、小惑星等に応用した研究。
【スパコン・アテルイツアー】
【理論の望遠鏡・アテルイ】は日本が世界に誇る天文学用のスーパーコンピューターです。
天文シミュレーションプロジェクト(CfCA) の
最先端のシュミレーション天文学の成果が産み出される施設内を、
丁寧な解説付きツアーで見学させて頂きました。
表は美術家の小阪淳氏のデザインです。虹色に照らされ幻想的でカッコいいです…!
どの色がお好みですか?
表面の美しい扉を開けると…中には機材がびっしりです!
今、この時も最先端の宇宙の計算が続けられているそうです。
裏面はシンプルです。美しいです。そして開けるとやはり筋肉のようなムキムキの配線がびっしり…!
計算機は働きっぱなしでとても熱くなるので冷却が重要だそうです。
施設の中にも外にも冷却装置がありました。
見た目はシンプルで涼しげなのに内面は複雑な計算を熱くこなし続ける…なんだかとっても素敵ですね!
前も後ろも中も全部美しいスーパーコンピューターで、
最先端の宇宙の謎を解き明かす為の美しい計算が昼夜問わず行われているのですね。。。胸熱です。
あ…!噂のアテルイの「安定運用」を願うダルマくん。
左目がカッコイイです。右目は何が叶った時に入るのでしょうか。。。
休みなしで計算を頑張るアテルイくんの背中を見守り、関係者の皆さんを励ましているのですね。
ダルマくんもお疲れ様!
アテルイくんとダルマくんの漫画。ほのぼのとした優しく熱い世界観が素敵で大好きです。
今年は「アテルイくんの夏」という3コマ漫画でした。
かわいらしく、親しみがわきます。来年も楽しみです。
「国立天文台ニュース」2013年8月号 の特集は【理論の望遠鏡「アテルイ」が拓く宇宙】。
とても丁寧に紹介されています。pdfで読めますのでぜひお読みください。
長年の多くの方々の試行錯誤の努力苦労の末に開発運用されている事が伝わります。
4ページ「宇宙を“計算する”シミュレーション天文学」の解説がとてもわかりやすいです。
「スーパーコンピューターの中に宇宙を再現し、模擬実験(シミュレーション)を行って宇宙の謎解きに挑みます。」
さらに裏表紙は、木村榮先生の【Z項】発見に寄与した眼視天頂儀、眼視天頂儀室、目標台などについて。
日本の天文学の歴史と遺産、これからがわかる特集ですね。
【特別内覧ツアー】
●木村榮記念館
●本館・AOC(アレイオペレーションセンター):VERAの電波望遠鏡を操作
●本館・相関器室:全国の4つの電波望遠鏡を組み合わせて操作
を 天文台の方々の解説付きで案内していただける約50分程のツアーです。
当日受付、先着順で、時間を選んで申し込みをします。
アテルイツアー、サイエンスカフェ、講演会の時間割とにらめっこして申し込みしました。
本館です。
VERAの全国各地の4局のアンテナを管理?している場所です。
現地の天候なども把握して、運用しているそうです。
個人的に感激したのは、4局の各モニターの上です。
左から順に、石垣島局(沖縄)、小笠原局(東京)、入来局(鹿児島)、水沢局(岩手)。。。
各局のモニターの上に、ちょこんと、さりげなく置物が…!
この茶目っ気に、とっても心ときめいて癒されました。。。
他の部屋では、4局で取得したデータの管理と変遷などについてお伺いしました。
本館で個人的に感激したこと2は、こちらです。↓
【天文保持室】
国立天文台では、国家事業として法律に基づいて「中央標準時」を決定していて、
その施設は水沢にあるそうです。その名も「天文保持室」。。。
天文保持室。。。てんもんほじしつ。。。なんだか名前がものすごくカッコイイ!
HP( 天文保時室 国立天文台 水沢 )によると
「原子時計群の運転とGPS衛星を利用した高精度国際時計比較を行って、国際原子時の作成に寄与しています。」
地下の時計は見られませんが本館に時刻表示がありました。
中央標準時の電光掲示板。さりげなく、本館にあります。
もちろん、うるう秒も挿入するそうです。
※情報通信研究機構の【日本標準時】についてはこちら → JST Clock
中央標準時と日本標準時の違いについては、
私の理解は怪しいので、ご興味のある方はお調べてくださいませ。。。
【木村榮記念館】
HP http://www.miz.nao.ac.jp/kimura/
緯度観測所の初代所長、木村榮(ひさし)先生の業績を顕彰する記念館です。
1900年(明治33年)に建築され、1966年(昭和41年)まで研究室として使用。
今は敷地内で移設して記念館に。手前は木村先生の胸像。
木村先生は地球のふらつきの研究で【Z項】発見 されたことで有名です。
日本による初の画期的な貢献でノーベル賞がまだない時代にゴールドメダルを、
そして第1回文化勲章を受賞されました。
当時の所長室を再現した「所長の部屋」が、とっても素敵な風情です。
個人的にものすごーくびっくりしたのは「木村の部屋」に展示されていた
木村先生が4才(左)と8才(右)の時に書かれた書です……達筆です!
(左)「観測の部屋」には、木村氏がZ項を発見した際に観測で使用していた眼視天頂儀
(右)「Z項の部屋」には、世界に3台、現存2台の浮遊天頂儀など、
歴代の貴重な観測機器が展示されています。
【眼視天頂儀室】
木村先生が観測に使われた眼視天頂儀室。屋根が開きます。
【目標台】
子午線の基準として使われた目標台。望遠鏡を水平にしてから、
中にある豆電球を覗いて正しい北の方向を決定していたそうです。
【サイエンスカフェ・講演会】
特別講演会ではアテルイを使った研究として
「スーパーコンピュータの威力で宇宙の暗黒面に迫る-ダークマター構造形成-」を伺いました。
私には少々難しかったのですが、お話が丁寧なので、講演の最中は話の流れはなんとなく
理解できたような気にさせていただけるので、先生はさすがです。
サイエンスカフェでは、3人の先生のトークを伺いました。
水沢VLBI観測所 所長、
RISE月惑星探査検討室 室長、
天文シミュレーションプロジェクト(CfCA) プロジェクト長
という、豪華な顔ぶれでしたが、研究への想いや地域とのつながりなど、
アットホームな雰囲気の中で伺え、とても楽しめました。
———-以下、お楽しみの部分です。———-
【遊学館前の広場】
遊学館前の広場が一番賑わっています。
サイエンス屋台、飲食の販売と休憩コーナー、など。
ビッグサイズのおにぎりはとても美味しくて、お腹いっぱいになりました。
夏の星座シート作りワークショップは
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に登場する星座を描くコーナーで、とても素敵でした。
岩手の作家の文学作品に触れながら、季節の星座を描く。
岩手の水沢ならではの星空に親しむコーナーかと思いました。
遊学館1階の売店前のコーナーにはお茶席が設けられ、お茶を点てて頂きました。
宇宙的なスイーツと共に、美味しく頂戴しました。
入り口の手作りの宇宙リースがとても素敵でした。
【奥州宇宙遊学館】
HP http://uchuyugakukan.com/
建物は水沢観測所の前身にあたる緯度観測所の本館として使用されていました。
今は移築され、奥州市の宇宙遊学館として使用されています。
建物の中もクラシカルで高貴な風情があります。
常設展示室「大地」「銀河」「風」「星」、4D2U・4次元デジタルシアター室、売店など。
太陽系スケールの展示が好きです。 ヒッグスくん の顔出しパネルもありました。
宮沢賢治が訪れたこともある、賢治ゆかりの地でもあります。
遊学館のキャラクターは賢治作品にちなんだ「又三郎」。
展示室「風」は、宮沢賢治さんに関するコーナーもあります。
1階売店で販売されている風の又三郎ポストカードはお土産にオススメです。
【子ども鹿踊り・小太鼓演奏】
個人的に感動したサプライズは地元の保育園の子ども達による、
郷土芸能「子ども鹿踊り」や「小太鼓演奏」のお披露目です。
(朝一でマーチングバンド演奏もあったそうです)。
宇宙研究施設の公開日が、未来を担う地域の子ども達による伝統芸能の発表の場でもある。
地域に根差した研究所・科学館の素晴らしいな試みだと思います。
子ども鹿踊り(ししおどり)(※「鹿」と書いて「しし」と読みます。)
重い衣装を身に着けての身のこなし、素晴らしかったです。盛大な拍手…!
小太鼓演奏。息の合った素晴らしい演奏でした。
一体、どれほど練習したのでしょうか。。。盛大な拍手…!
画像では、あの場の盛り上がりと感動が伝わらず、あぁ、残念です。
(※ちなみに宮沢賢治の童話に『鹿踊りのはじまり』という作品もあります。)
【わんこ兄弟のおもっち】
会場には、岩手の人気者、PRキャラクター「わんこ兄弟」の「おもっち」や、
平泉世界遺産PRキャラクターの「ケロ平」も来てくれていました。
タイミングが合わず、ケロ平さんには近くで会えなかったのですが
おもっちの愛らしさと手厚いファンサービスに、すっかりファンになってしまいました。
おもっちのお椀の上は、おもち=ずんだもちを表しているそうです。
お椀とワンピースの形が、アンテナが上を向いた時のシルエットに似ていて、
天文ファン的には愛おしさが倍増します。
今、私のスマートフォンにはおもっちのストラップがついていて、いつも一緒です。
↓この画像は「完全に一致」で、最高です。あぁ、かわいい。
天文シミュレーションプロジェクト(@CfCA_NAOJ )さんのツイート
「おもっち」とVERA 20m電波望遠鏡のツーショット!
https://twitter.com/CfCA_NAOJ/status/634934057466392577
わんこきょうだいHP: わんこきょうだいのご紹介
【施設見学】
国立天文台 水沢(岩手県) http://www.miz.nao.ac.jp/content/tour_guide_mizusawa_campus
国立天文台 野辺山(長野県) http://www.nro.nao.ac.jp/visit/index.html
通常の公開の他に、年に一度の特別公開日があります。
私は1度、通常の施設公開で見学したことがあります。(花巻旅行の帰りに寄りました。)
アンテナを見上げたり、奥州宇宙遊学館、木村栄記念館を見学したり、
ゆっくりと楽しむことができます。
特別公開日(いわて銀河フェスタ)は普段は公開していない場所も見学できたり、
天文台の方々が用意してくださった展示を拝見したり、
サイエンスカフェや講演会で研究者の方から直接お話を伺えたりします。
水沢と野辺山は毎年8月下旬に開催されますので、ぜひそれに合わせて遠征をオススメします。
皆さんの訪問日が、晴れやかな楽しい見学日和でありますように…!
【オマケのJR東北本線・水沢駅】
私は気が付かず、知人にカメラの画面で見せていただいたのですが、
水沢駅のポストには電波望遠鏡が載っているそうです。
リニアコライダー短冊が付いた風鈴が飾られていました。
【オマケの岩手観光・花巻・他】
イーハトーブフォーラム2015 光と音のページェント 花火ファンタジー
http://sp.jorudan.co.jp/hanabi/spot_87114.html
岩手県花巻市で開催の花火大会は、2015年は水沢の特別公開日と同日の夜でした。
花巻は天文ファンにもファンが多い宮沢賢治さんの故郷です。北上川の夜空を花火が彩りました。
帰りに、電車に間に合うように少し早めにタクシーに乗り、運転手さんにお願いして
夜だけの幻想的な壁画を見に行きました。
(花巻駅から歩いて5分程度なので、見物後は歩いて花巻駅に戻りました。)
東北本線の「水沢」駅から「花巻」駅までは約30分(約500円)程です。 本数は少ないです。
(※新幹線の「水沢江刺」「新花巻」ではありません。かなり離れていますのでご注意ください。)
花巻から花火の会場までは往復タクシーを使いました。
縁日も出ていて賑やかですが、混み過ぎずちょうどいい賑わいです。
打ち上げ場所も土手から近いので、花火が大きく感じられます。
また同じ日に開催されるかもしれませんので、遠征される際は調べて行かれてはいかがでしょうか?
ちなみに、私は水沢天文台でバッタリ会った知人グループと一緒に花巻の花火を見物しました。
翌日、私は仙台に移動して仙台市天文台へ。知人グループは中尊寺を観光したそうです。
【国立天文台水沢と東北旅行オススメコース】
◆水沢→JR東北本線で約30分の花巻へ(宮沢賢治の故郷!星グッズいっぱい※記念館等は新花巻駅です)
◆水沢→JR東北本線で約15分の平泉へ(世界遺産の中尊寺と毛越寺へお参り)
◆水沢→花巻からJR釜石線で約1時間の遠野へ(民話の故郷)
◆水沢→仙台へ。バスで約30分の仙台市天文台へ。
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星と宙の工房 TeruTeruZa てるてる座 テルテルザ
http://teruteruza.com/
「星に親しみ、宇宙・天文を楽しむ」方が増える事を願って、
「宙のある生活」をテーマにものづくりや天文普及活動をしています。
Pray for CLEAR SKIES!
皆さんの宙と心が晴れやかでありますように…!
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